音楽ジャンルと技能と職能
指揮ってのは、やりたくてやれる人は極少数。
演奏のプロがアマの楽団に頼まれて指揮をすることがあり、これも全体から見たら、まぁ極少数でしょうけど、依頼を受けたからといって、その演奏家が指揮をやりたくてやっているのか、まぁ頼まれたからとやっているのかは、その人でないとわかりません。
外側の目としては、演奏のプロになる過程で「自分のイメージする演奏を実現させるための指揮(これがいわゆる「自己表現の一手段としての指揮」?)の素養を、身につけてきたかどうか、だね。
アマとはいえ大勢の演奏家の前で棒を振ることが出来る喜びとか、命令できる喜びを指揮に見いだすという、姿かたちとしての指揮者に憧れる人は論外として、アマチュア指揮者の“アマチュア”に自覚を置くか、“指揮者”に自覚を置くか。
んでその延長線として
「自分のイメージする演奏を実現させるための」楽団運営とか乗っ取りとかまで視野に入れる演奏のプロは、いても極少数でしょう、私はお目にかかったことがない。
他にも音楽ホール建築とかホール経営とか、演奏実現のために政治にまで手を染めるとか。
まぁ大多数の演奏家は「演奏は指揮とは違う」と考えているでしょう。専門と専門の間にある壁が高いんだろうし。
他の分野、学問なんかではそういうことを「潰しがきかない」というのではないだろか?
「音楽には本当は“ジャンル”なんて存在しないんだ」という人って、
演奏家ってありとあらゆる演奏が出来るはずだ、ってことですよね。
ジャズと吹奏楽とかいう“ジャンル”を念頭に置いているのだろうけど、
演奏と指揮という区切りは、どうなのかしら?
優れた指揮者は全ての楽器を扱えるわけではないけど、多くの楽器のナニかに精通しているという前提があるからこそ、演奏家は指示に従うわけで、そのナニかってのがいろんなものを超越するんだろうし、演奏家だってそのナニかを持ってる人ってのは、少数か多数かは解らないけど絶対数として結構いそう。
そのナニかをきちんと言語化できれば、音楽には本来ジャンルなんて存在しないんだという言葉に新たな意味が加わるんだろうな。