ぽかぁんとしてしまうこと:Hatena版

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モノの考え方

「国語力」という考え方なんですが、糸井重里氏の言葉から私なりに命名したものです。

マドラ出版という出版社で毎月「広告批評」という雑誌を出してまして、その編集に携わっていた天野祐吉氏が「夜中の学校」という深夜テレビ番組を企画して放映しました。

それは後にマドラ出版で「夜中の学校」全13巻で出版したのですが、その初月に糸井氏が

「イトイ式コトバ論序説」として講義を受け持ち、コピーライターとして考えた言葉の力について、意見を述べていたのです。

糸井氏の他にモノの考え方について印象に残っているのが、荒俣宏氏が

図像学入門」(のちに集英社文庫に収録されました)の中で講義した

「バカの見方」他の物との関係を抜きに、目で見た物だけを解釈

「ボケの見方」相手のペースに乗って解釈する

「パーの見方」相手の提示するルールに一切囚われない

といったものや、

中沢新一氏の「宗教入門」で講義した

キリスト教の教えは一言半句に膨大な解釈が生まれて不安定を抱え込み、

仏教は「色即是空、空即是色」のようにあらゆる可能性を許容してしまう

というものがあります。

(この仏教の安定性については橋本治氏が別の所で意見を書いています。

圧涛Iな正しさを押しつけられ、それとは違う考えを否定されるシステムの中では、反発する心はシステム自体の破壊を目指すが、

自分の意見を持つことを許されるシステムの中では、システムの破壊を目的とする者は生まれづらい、という指摘です。

キリスト教は異教徒どころか異端者も火あぶりにしたし、日本では儒教が根本となって武士階級には切腹を、民衆には「切り捨て御免」の制度がまかり通っていました。

仏教徒の中にも不寛容な考えを持つ個人はいましたけど、仏教全体では「よりよい生き方の教え」みたいな物です)

あと他にはオタキングこと岡田斗司夫オタク学入門太田出版にある

「通の目」そのモノの歴史的な文脈を愛する

「粋の目」見立て、趣向を楽しむ

「匠の目」その手法や行程、システムを読みとるエンジニアの目

なんて見方もあります。

(またこの本の中では、フランスの版画家に「アートとは?」と質問し、

子供が自分から自然に飛びつくような面白いものはアートではない。

アート、教養と「面白さ」は全く関係のない別な物だからこそ、大人は子供を学ばせなければならない、との答えを聞いています。

ヨーロッパの「子供観」とも関係してくるのですが、「子供の文化」とは子供が自分たちで作るモノではなく、大人が教え導くモノらしいです。

だから上流階級の子供はテレビゲームなどさせて貰えなくて、レゴとかブランド物のぬいぐるみとか、木馬なんか与えられるのでしょう。

ちなみにエルメス家だかヴィトン家だったか忘れましたけど、自分の子供に木馬を実際の馬に見立てて、本当の馬の世話のやり方がわかる「ごっこ遊び」の道具を自前で作っていたのを見たことがあります。

エルメス、もしくはヴィトンブランドの「馬の世話ごっこ遊び」用品…

(^^;))

まぁそんなこんなで、モノの考え方、モノの見方というのは学校や家庭で教わるだけのモノではなく、世の中の才人達から書籍経由、テレビ・ラジオ経由で結構教えて貰えるものですので、是非アンテナを磨いてください。

テレビやラジオですと録画・録音は身構えていないと難しいので、書籍や雑誌が楽です。

筆記用具持って図書館に、お財布持って本屋さんに、マメに足を運びましょう。