寿限無寿限無五劫の擦り切れ
一昨日のことをようやく飲み込むことができた。
いま所属している楽団の、選曲会議に出たんですよ。
んで私がマーチをやりたいんでCDを持っていって聴かせたんですけどね、
没。
その理由が、
「同じメロディーが何度も繰り返されるから、吹いてて飽きる」
「昔のマーチだから他の曲と雰囲気が揃えられない」(周囲はN.S.B.ばかりだと思ってください)
「コンサートマーチならいいけど…」
あちこちのサイトの掲示板の中には、
「近頃の若けぇ連中は、マーチをやりたがらねぇ」
という嘆きが書かれていますが、「やりたがらねぇ」理由は上記と近いんでしょうか?素直に理由を聞いたこと、あります?
私は上記の理由を聞いて、怒るとか嘆くとか呆れたりはしませんでした。(他にもいろいろありまして)
この理由を聞いた時点では、
「そっか、『この曲をやりたい』という思いを優先させる人にはマーチは人気が無いんだ、
そういった人には『(自分の)この演奏をやりたい』という思いは二の次か、無いんだ」
であります。
確かに昔ながらのマーチは繰り返し記号あり、ダ・カーモ�り、さらにまた繰り返し記号ありで、同じメロディーを何度も何度も吹くことになります。
しかし一度目二度目三度目四度目…全部違う吹き方を披露出来るわけですな。
(ラヴェルの「ボレロ」は同じテーマをリレーしていく楽しみがあるわけで)
んで思い出したのが、歌謡曲を作る人達の間では、歌詞を先に作ってメロディーを後に作る「詩先」と
メロディーを先に作って歌詞を後に作る「メロ先」という専門用語。
そこから、吹奏楽の場合演奏者達が選曲をするときに、「曲先」が定番で、「奏先」は無いか、非常に少ないんじゃないか?と連想しました。
こっから先は私の数少ない「楽令」のアイディアに進んでしまうので止めますが、
考えてみればあちこちのサイトの掲示板に、
「私のバンド、人数これくらい、レベルこれこれなんですけど、何かお勧めの曲があったら教えてください」
という質問の、なんと多いことか!そして
「どんな曲だって、演奏次第ではお勧めだよ!」という返事は見たことがない。
(ちなみに以前、プロのTp奏者の人と話しをする機会があったとき、選曲の基準を質問しましたら、
「何の曲をやるかより、誰と組んで演奏するかのほうに神経使うよ」
と答えられました。もうどんな曲でも吹いてしまうらしいです)
あと。
団員達から募った候補曲を見て、音源で演奏を聴きながら、どんどん没を決めていくのですが、
それでも「みんな曲を少ししか出さないよねー」って言っている姿を見ていると、
『女性が朝、クローゼットの中に洋服がパンパンに詰まっているのに「今日着ていく服がない!」と絶叫している姿』とか、
『朝、私の本棚には本が売るほどあるのに、「通勤電車の中で読む本がない!」と困っている姿』に
重なって見え、変な感じでした。
ファッションの本を読んでましたら、
「それは『新鮮さ』という要素を消費してしまった状態なんだよ」
と指摘していた人がいましたが。
奇妙なものです。
んで腹の立った話しは明日書きます。