問題提起
紀田順一郎「読書戦争 知的生産を守るために」三一書房刊を購入。
出版業界の自壊を憂いている人は、多いです。
出版業界に想いをよせているくらいですから文章がたち、いろいろと意見を書いております。
音楽にも参考になる文章が多い。
「書物を読みたいという熱心な人と、読む本が欲しいと思う退屈した人との間には大変な相違がある」
というチェスタトンという作家の言葉を引用して、「読者」と「消費者」の違いを
リーダー(reader)とユーザー(user)という立場の違いで書いています。
「読者」は読んで感想を心に残しまして、その自分の心に起きたさざ波を愛おしんで出版文化の鰍ッ替えの無さを実感しますが、
「消費者」は文章を利用しますが、想い素通り。
辞書を「使った」ときに、用が済めばページを閉じて仕舞う人と、
前後の単語や文章の面白さに気がついて「読んで」しまう人との違いといえば、わかりますでしょうか。
吹奏楽でも曲を気に入って、何度も聴く人とか、演奏する人と、
演奏会をやるから曲を決めなくてはならず、好きでも(嫌いでも)ない曲を用意して、懸命に練習をして、
本番をこなし、終わったらもう二度と譜面を広げないとか、どんな曲だったかキレイサッパリ忘れる、
そういう違いは、確実にあります。私にも後者の曲は、けっこうあります。
コンクールの課題曲なんかにもその年だけしか演奏されない曲は山ほどありますが…
うん、「コンクール」という催しに使用される「実用音楽」だな。(w)
いや、課題曲として技術や表現力の選別・モノサシとしての実用性があるからこそ、
コンクールが終われば自らの実力を、なにもモノサシを使って世間に広めたくはないのかも知れない。
この本は他にも面白い指摘があるのですが、腰がまだ痛いので、また今度書きます。