俺たちの行進曲
古本屋で有明夏夫「俺たちの行進曲」文春文庫という背表紙を見つけ、
ぱらぱら見てみたらジャズやマーチの曲名がちらほら出ているので、購入。
福井県の高校三年生たちの青春小説で、主人公は一人ではなく、何人かの視点で高校生活が描かれている。そのグループがみんな音楽部に所属している。クラリネット、コルネット、トロンボーンの三人が狂言回し。
この手の小説は小峰元氏の小説で散々読んだけど、小峰氏は主人公一人の視点を固定したて仲間数人と行動、級友たちへの描写なのに対し、
この小説は視点が分かれ、それぞれに級友との絡みがあるのでその学年全体の雰囲気が見えるような気になる。
ただいつの時代の描写かが冒頭に書かれていないので、途中まで戦中か戦後かがわからなかった。昭和20年代中頃らしい。
この音楽部、校長先生が野球部の鼓舞のために作って音大出の先生を顧問に据えたのだけど、顧問は件p系をやりたがったために控え室みたいな所にとばされ、バイオリンやピアノをやりたがる生徒はそこで細々と練習をさせられる。ブラスバンド部は野球部の下請け的存在であることをわかっていて、ピアノ・バイオリン志望の新入生をなんとか管楽器演奏にするよう説得・懐柔にあけくれる。
まぁ内容は「いかに彼女をつくるか」って比率が多いけど。
野球への夢とか、当時の風俗とか、ホントかどうかはわかりませんが、ホントみたいには書かれています。
ところで「バブる」って、なんだ?(^^;)
バジングのことかしら?
「オール読物」昭和55年10月号〜昭和56年1月号連載
昭和56年3月単行本化、
昭和59年1月文庫化